・心アミロイドーシスとは?
心臓アミロイドーシスは、心臓の組織に異常なタンパク質(アミロイド)が沈着することで起こる心疾患である。これらの沈着物によって心臓が正常に働かなくなり、息切れ、疲労、足のむくみなどの心不全症状を引き起こします。治療法としては、薬物療法、生活習慣の改善、手術などがあります。
最近では、ビンダケルという治療薬が開発され、心アミロイドーシスは注目されています。ビンダケルATTR型アミロイドーシス心筋症の治療に用いられる経口投与の薬剤で、疾患の進行を抑制します。(Mathew S. Maurer et al. N Engl J Med 2018; 379:1007-1016)トランスサイレチン アミロイドポリニューロパチー(ATTR-PN)の治療薬として使用も承認されています。
・心アミロイドーシスのMRI所見は?
心アミロイドーシスでは、左心室に沈着したアミロイド線維によって、間質の顕著な拡大が起こり、特徴的な MRI 所見を呈する。
心アミロイドーシスの遅延造影MRIの所見
・左室肥大、左室心内膜下に分布する淡い高信号。右室肥大、右室心内膜面の淡い高信号
・心房中隔の壁肥厚
・左室内腔の低信号化(dark blood pool)
・ストレインでのApical Sparing
病態が進行する程、高信号域は拡大し、貫壁性の高信号域を持つ患者は予後が悪いと報告されている。
Fontana M, Pica S, Reant P, et al. Prognostic Value of Late Gadolinium Enhancement Cardiovascular Magnetic Resonance in Cardiac Amyloidosis. Circulation. 2015;132(16):1570-1579.
MRIではATTR型心アミロイドーシスとAL型心アミロイドーシスとの病型の鑑別困難であるが、あえて比較した研究もある。
→ATTR型心アミロイドーシスはAL型心アミロイドーシスと比較して左室心容積が大きく、左室収縮能が低く、左室心筋重量が大きく、遅延造影MRIでの左心室の貫壁性の淡い遅延造影といった所見の頻度が高い25。さらに、ATTR型心アミロイドーシスでは心基部のみ高信号を認め、心尖部には高信号を認めない“base-apex gradient”も高頻度であった。MRIにおける”base-apex gradient”は、心エコーのストレインの所見である”apical sparing”と関連すると考えられる。
Dungu JN, Valencia O, Pinney JH, et al. CMR-based differentiation of AL and ATTR cardiac amyloidosis. JACC Cardiovasc Imaging. 2014;7(2):133-142.
・有効な診断フローとして、MRIで心アミロイドーシスを疑う所見があった際に、ピロリン酸シンチグラフィーと免疫グロブリン遊離軽鎖(free light chain: FLC)を診断に用いる。特にピロリン酸シンチグラフィーは非常に有効である。
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